APT. TOR WEST【エーピーティートアウエスト】

店舗名
2022年、神戸・トアウエストにて開業したバーバーショップ「APT. TOR WEST」
元町と三宮の間にあるトアウエスト。セレクトショップや古着屋が数多く立ち並ぶこのエリアに「男の遊び場」のようなBARBERがある。オーナーである山本丞さんにこれまでの軌跡や業界の展望を伺った。
「APT.」とは「アパートメント」の略称だ。神戸に移転する前、約20年間営業していた宝塚時代の店名「APT. HAIR SERVICE」にも使われていたが、これは友人の部屋にふらっと立ち寄るような気軽な空気感をイメージしているそう。神戸のトアウエストに移転したことで、「APT. TOR WEST」という現在の店名に改められた。
「男の趣味が詰まった空間にしたかった。お酒だったり、音楽だったり。そういうものが自然と交差するような場所を目指した」
と山本さん。
APT. TOR WESTには飲食スペースが併設されており、タコライスやジャークチキン、タコスなどが提供されている。バーバーと飲食を結びつけたのは、山本さんの奥さんが「人が集まれる場所をつくりたい」という構想を持っていたことが始まりで、神戸に移転オープンするタイミングでバーバーに飲食店を併設し、オープンした。
空間全体が「男のための居場所」として機能している点が、APT. TOR WESTならではの魅力だ。
カット前、カット後にカフェスペースにふらっと寄るお客さんも多く、タコスに関しては夫婦2人で毎晩食べていろんな味を研究したそうなので、是非味わって欲しい。
来店者は20〜30代の若年層が中心だが、音楽関係者やアパレル業界の人物も多く訪れるそう。神戸という立地もあり、外国人観光客がふらりと立ち寄ることもある。
「40代以上の自分と同年代の人にも気軽に来てほしい」との店主の想いもあり、年代を問わず、落ち着いた雰囲気を好む大人にも居心地のいい空間を目指している。
どんなお客さんに対しても、丁寧に対応すること。それが店としての基本姿勢であり、若手スタイリストにも徹底させているとのこと。
リピート客が絶えない理由の一つだろう。
また、当然だがカットに関してもこだわりがあるそうで、山本さんが何より重視するのは「伸びた時も美しいスタイル」
1週間後、1ヶ月後でもスタイルとして成立していることに価値を置いており、また、日常的にセットしやすい髪型であることも重要視しているそうだ。
最後に山本さんの今後の目標や日本のバーバー業界についてを伺った。
A.今後は、オリジナルのポマードやコームなど、自身のブランド製品の開発に取り組みたい。APT.の世界観を製品として落とし込みたい。知ってくれている人が増えてきた今だからこそ、モノづくりに挑戦してみたいと思っている。
同時に、後進の育成にも力を入れていきたい。今までは一人で切り盛りしていたが、現在は若手スタイリストとともに店を運営している。
これまで人を“教える”ということはあまりしてこなかった。でも、今は自分が色んなメディアに出て、かっこつけてる姿を見せることで、刺激を与えるやり方もあると思っている。
A.ここ数年でバーバー文化は大きく変化した。同業者との横のつながりも増え、みんな仲がいいし業界全体がよりオープンかつ活発になっている。
5〜6年前と比べて、明らかに個性豊かなプレイヤーが増えた。似たスタイルが増えたことで冷静に考えると競合が増えるので実際困るんだけど(笑)
悩むこともあるが、競争が刺激となり、かっこよくなりたいと思う原動力にもなるし何より業界全体が楽しくなってきてていい。
A.専門学校に通う前は、地元で親の仕事を手伝いながら過ごしていた。ふと「このままでは駄目だ」と思い、手に職をつけるために今に繋がるきっかけとなる美容師の世界に飛び込んだ。
今は楽しすぎて、他の仕事なんて考えられない。10年くらい前から、プライベートと仕事の境目がなくなってきた。今の自分のライフスタイルそのものが、この仕事だね。