BARBER STYLE CLUB
店舗名
映画『バーバーショップ』に魅せられ、学生時代に抱いた夢を実現させた理容師・NeRoさん。ストリートカルチャーとバーバーショップを融合させ、仙台に5店舗を展開する「BARBER STYLE CLUB」の代表として、ローカルカルチャーと共に新しい理容文化を発信し続けるNeRoさんの理容師としての哲学や店舗展開への想いを伺った。
「BARBER STYLE CLUB」の名に込めた想いには、実に興味深いエピソードが隠されている。
時は遡ること学生時代。キムタクの『ビューティフルライフ』や 『ビフォーアフター』など、カリスマ美容師ブームが最盛期を迎えていた頃、一本の映画が運命を変えた。
アイス・キューブ主演の『バーバーショップ』。当時ストリートファッションやストリートカルチャーに夢中だった若者にとって、この映画は単なるエンターテインメントではなかった。ヒップホップカルチャーと精通するバーバーショップの世界を知り、「自分は理容の道だ」と決意したのだ。
理容学校では、美容学生が大多数を占める中、理容師志望は1クラスに数名程度。「なんで床屋になったの?」とよく質問されたという。
しかし、そこで気の合う仲間2人と出会う。3人は悔しさをバネに、ある夢を抱いた。
「仙台で映画のようなかっこいいバーバーショップをいつか出したい」
当時流行していたチームを組む文化にならい、「バーバースタイルクルー」を結成。いつか店を出したら「バーバースタイルクラブ」、大きくなったら「バーバースタイルカンパニー」へ。ロマンと憧れを胸に、修業時代へと歩みを進めた。
10年の修業を経て仙台に戻り、ついに「バーバースタイルクラブ」の開業へ。当初の3人のうち1人は事情により参画できなかったが、もう1人の友人とともにスタート。オーナー兼スタイリストとして、学生時代の夢がついに現実のものとなった。
現在、仙台市内に3店舗、隣の多賀城市に1店舗、そして2025年1月には理美容室「ビューティースタイルクラブ」を加え、全5店舗を展開する「BARBER STYLE CLUB」。店舗ごとに異なる表情を持ちながらも、ブランドとしての一貫性を保つ秘訣とは何か。
「一応全店、店舗の雰囲気やグルーヴ感、メニュー展開はなるべく一緒を目指しています。でも完全ではないですね」
その理由は明確だ。店長の個性を生かした店舗展開を意識しているのだ。店長の価値をしっかりとその店舗に色付けることで、スタッフの個性の尊重も含め、店舗ごとに個性あふれるグループ展開を実現している。
トレンドを含めかっこよくなりたいお客様への技術提供に加え、サブカルチャーや様々なカルチャーを取り入れた営業を展開。カルチャー発信と共にバーバーショップを営むというスタイルだ。
10年間のブランディングの積み重ねが、「バーバースタイルクラブと言えば」という認知を生み出してきた。特定のテーマを決めずに育ってきた10年の経営こそが、ブランドの軸となっている。
スタッフ育成には独自のシステムがある。過去の経験を生かし、幹部含めスタッフからの意見を取り入れながら、年々アップデートを重ねてきた。技術の教育システムに加え、人間性の部分を育てるシステムも構築している。
「システム強化を考える日々ですね。教育者側も学ぶ側も常に苦労をしてます。この苦労は一生無くならない、向き合わなくてはいけない大事な事ですもんね」
年に2回開催する「方針会議」は、新たな取り組みのスタート時期であり、過去の反省課題を振り返る場でもある。全員が同じ方向を向いて進むための大事な会議として位置づけられている。
新卒に加え、異業種からの中途採用も多い「BARBER STYLE CLUB」。サロンワーク中の技術指導や気づきの共有など、様々な場面で教育の機会を設けている。
「仙台で勝負する意義」これが経営における重要なテーマだ。
ローカルビジネスの強みとして感じるのは、「地元歴が長い方にはなかなか勝てない」という現実。しかし、それは単に長くいれば良いというわけではない。日々の行いや考え方の内容の濃さが重要なのだ。
仙台という土地は、地元の特性が強い地域だという。大企業の飲食店でも繁盛しづらく、撤退するケースも少なくない。ネームバリューがある理美容店もその傾向を感じてはいる。
「会社、企業としとのブランディングも大事ではあるが、個々のマンパワーがどれだけ強いのかが大事になってくる。コツコツと地元の方々から愛される。リピーターが増えて、口コミ紹介も増える。このサイクルが大事であると感じています。」
ビジネス的には、この地域特性を深く理解することが成功の鍵だと感じているとのことだ。
ここ数年、強く取り組んでいるのが「ローカルで活動している様々なカルチャーの方々と一緒に動く」ということ。
「いつもの現場以外でどう発信できるかが大事であり、面白みあるなって思ってまして」
SNSやイベントを通じた発信も得意だが、東北・仙台にいながらにして大切にしているのは「人の発信」だ。ローカルで頑張っている人、素敵なライフスタイルをお持ちの人、ずっとやってきた仕事の一つ一つその人の価値を発信することが重要だと考えている。
具体的な活動として、3年ほど前から車のイベントに参加し、髪のブースを出店している。車好きのお客様や車のカスタム屋さんと交流。そんな方達のカルチャーの場に飛び込んでコツコツと活動を続けた結果、認知されるようになり、ヘアカットブースをご利用するお客様の需要も増加した。
「車、ファッション、音楽、ヘアスタイルなど、トータルでライフスタイル素敵に楽しんで頂くために、我々にとっての本業でもある『理容の文化』を提供できる場が有難いと感じた」
いろんなところに混ざりに行く、色々な他ジャンルの人と動く。これがめちゃくちゃ面白いと実感しているとのことだ。
開業10年前からイベント活動は行ってきたが、当初は、同業者向けのイベントを軸に企画していた。現在では、様々な分野のカルチャーと共に動く事の楽しさや大切さを知ってからは活動の方向性が変わった。
現在掲げているテーマが「SPU(スター・ピース・ユナイテッド)」。「小さい星のかけらの集団、集合体」という意味だ。
仙台や多賀城といった、主要都市でもなく地方都市でもない郊外で東北エリアに勝負するという意味では、東京のようにスター性のある人が結果を出している環境とは異なる。世の中を大きく動かす力は現時点ではないかもしれない。
しかし、小さい星のかけらとして、一人一人が素敵なスキルやステータスを持っている人がとても多いことに気付いたという。
「カルチャーを愛する星のカケラが集まって、大きなスターになれたなら、強いなと思いました。発信力もあがるし、SNSやインターネットを通して都会を羨む事や、自分達が住む街やエリアに抱く不満も無くなる人が増えて、夢や希望も増して、もっと自分の街が好きになる。そんなロマンを考えています。」
この思いで「スター・ピース・ユナイテッド(SPU)」を掲げ、イベント活動を通じてローカルカルチャーを盛り上げている。
スタッフが多い中で大切にしているのが、方針の一つでもある「ソロではなくチームとしての戦い方」だ。
ソロにもチームにも、それぞれメリットとデメリットがある。チームを選んで理容師をしている以上、「チームのデメリットをメリットにしていく努力」が大事だとneroさんは考えている。
「内部環境が良くなければ、当店を選んで来てくださるお客様にも、いいものは伝わらない」
仲間との信頼関係、理解度、そしてチームに起こるデメリットを事細かく理解し、それをメリットに変えた時の強さを、みんなと共通認識を持って追求している。
最後に今後チャレンジしてみたいことや次世代へのメッセージを伺った。

A.うちとしては、店舗展開を頻繁にするつもりはないんですけど、「いい人」との出会い、合流が今後も続けば、店舗展開は必要になると思います。新業態は現在考えていませんが、スタッフ達が「何をしたいのか?」によっては寄り添う姿勢や行動は取りたいと考えています。
見た目、見える部分はお金で買えます。ファッションでも髪型でも、整形でもなんでも。でも、見えない部分「中身、人間性、経験値」これらはお金では買えません。
ただ、そのどちらも大事で、どちらかだけじゃダメです。
「人は中身だ」という道徳的な言葉がありますが、理美容師としては「どっちもです」と伝えたい。どちらも頑張って手にしていけたなら、やっぱり幸せになれる職業じゃないかなと思います。
外見を捨てて中身を育てても、理美容師として憧れられるにはちょっと不十分です。外見と中身、両方を大事にしてほしい。
外見から求める方が多い中、離職率が高いのも事実です。でも、やりたいことをやるというのはすごくとてもいいことだと思います。本当に信念を持ってやれる人が、かっこいい理容師になれると思います。頑張ってください。
BARBER STYLE CLUB。学生時代の夢から始まり、仙台に根付いたバーバーショップ。ローカルカルチャーと共に歩み、小さな星のかけらを集めながら、東北から新しい理容文化を発信し続ける。技術とチームワーク、そして地域との繋がりを大切にする -それが「BARBER STYLE CLUB」の揺るぎない信念なのだ。